○新庄村自然保護条例

昭和47年11月18日

条例第20号

静かで美しい村の自然は、村民の生存にかけがえのない母胎である。われわれは、いま、この自然保護を第一義とし、村民各自が真に自然と合唱のできるような姿勢に徹し、より健全な郷土環境を創造し、これを永遠に伝えるべき責務を痛感する。

ここに、その決意を誓い、かつ、これを大自然に約束するため、この条例を制定する。

(村の責務)

第1条 村は、国又は県が実施する自然の保護に関する施策と相まって、当該地域の自然的、社会的条件に応じた自然の保護に関する施策を策定し、これを実施するものとする。

(事業者の責務)

第2条 事業者は、その事業活動による自然の破壊防止に努め、植生の回復、緑地造成その他自然の保護に必要な措置を講ずるとともに、村が実施する自然保護施策に協力しなければならない。

(村民の責務)

第3条 村民は、動植物を愛護し、植樹を行う等互いに自然の保護に努めるとともに、村が実施する自然保護に関する施策に協力しなければならない。

(自然保護基本計画の策定)

第4条 村長は、第1条の施策に係る基本計画(以下「自然保護基本計画」という。)を策定するものとする。

2 自然保護基本計画は、次に掲げる事項について定める。

(1) 自然の保護に関する施策の目標である基本的方針に関すること。

(2) 土地の利用、開発等の計画の策定及び実施に当たり配慮すべき自然保護のために必要な措置に関すること。

(3) 自然保護に関する施設の整備に関すること。

(4) 自然保護に関する知識の普及及び思想の高揚に関すること。

(5) 村民の行う自然保護に関する自主的活動の助長に関すること。

(6) 自然保護のための監視指導体制の整備に関すること。

(7) 前各号に掲げるもののほか、自然を保護するために必要な施策に関すること。

(財政措置)

第5条 村は、自然保護基本計画実施のために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(自然保護地区の指定)

第6条 村長は、自然保護のため必要があると認めるときは、次の地区を自然保護地区として県に申請し、又は指定することができる。

(1) 良好自然保護地区

森林、草生地、山岳、丘陵、渓谷、河川等が所在する地区のうち、良好な自然状態を保持している地域で、その保護を図ることが必要な地区

(2) 環境緑地保護地区

村落周辺地域で、良好な環境を形成する緑地として保護又は造成を図ることが必要な地区

(3) 動植物保護地区

動物の生息地(繁殖地)又は植物の生育地であって、これら保護又は繁殖を図ることが必要な地区

(4) 郷土自然保護地区

自然と一体となって郷土色豊かな風土を形成し、村民に親しまれている地域で、その自然を保護することが必要な地区

2 前項第3号に定める保護地区の指定は、当該地区において特に保護すべき動物(以下「保護動物」という。)又は植物(以下「保護植物」という。)を定めて行うものとする。

3 村長は、自然保護地区を指定しようとするときは、あらかじめ、当該自然保護地区の指定案(以下「指定案」という。)を作成して公告し、当該公告の日から2週間一般の縦覧に供するものとする。

4 前項の規定による公告のあったときは、関係区の住民及び利害関係者は、縦覧期間満了日までに縦覧に供された指定案について、村長に意見書を提出することができる。

5 村長は、指定案の作成、前項の意見書、自然保護地区の指定については、第21条に規定する新庄村自然保護審議会に付議しなければならない。

6 村長は、自然保護地区を指定する場合は、その旨及び区域を告示し、指定は告示によりその効力を生ずる。

(特殊保護地区の指定)

第7条 村長は、自然保護のため特に必要があると認めるときは、自然保護地区内に特別保護地区を指定することができる。

2 前条第3項から第6項までの規定は、特別保護地区の指定について準用する。

(郷土記念物の指定)

第8条 保護のため必要があると認めたときは、樹木及び地質鉱物(特異な自然現象を生じている土質を含む。)で村民に親しまれているもの又は自然なるものを郷土記念物として指定することができる。

2 第6条第3項から第6項までの指定は、郷土記念物の指定について準用する。

(指定の解除及び区域の変更)

第9条 指定した自然保護地区、特別保護地区及び郷土記念物(以下「自然保護地区等」という。)について必要があると認めるときは、指定を解除し、又はその区域を変更することができる。

2 第6条第3項から第6項までの規定は、前項について準用する。

(標識の設置)

第10条 自然保護地区等を指定したときは、その区域内、所在地内にその旨を表示した標識を設置する。

2 何人も前項の規定により設置した標識を、村長の承諾を得ないで移転し、除却し、汚損し、又は損壊してはならない。

(特別保護地区内における行為の許可等)

第11条 新庄村地内において次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ村長の許可を受けなければならない。ただし、特別保護地区が指定され、若しくはその区域が拡張されたとき既に着手していた行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

(1) 建築物その他工作物の新築、改築又は増築

(2) 宅地の造成その他土地の形状の変更

(3) 鉱物の採掘又は土石の採取

(4) 木竹の伐採

(5) 河川の水位又は水量に増減を及ぼす行為

2 開発行為(土地の造成、採土等にあっては、その面積が1,000平方メートル未満、建場の設置等にあって住宅以外のものについては、その延面積が300平方メートル未満、住宅についてはその延面積が300平方メートル未満でかつ5戸未満であるものを除く。)を実施しようとする者は、あらかじめ村長に当該事業の目的、規模その他村長が定める事項について届け出るとともに、村長と協議しなければならない。

3 特別保護地区が指定され、又はその区域が拡張された際、当該特別保護地区内において、第1項各号に掲げる行為に着手している者(その着手している行為について第13条第1項の届出をした者を除く。)は、その指定又は区域の拡張の日から起算して1箇月以内に村長にその旨を届け出なければならない。

4 特別地域内において、非常災害のために必要な応急措置として第1項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して14日以内に村長にその旨を届け出なければならない。

5 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で村長が認めたときは、前3項の規定は適用しない。

(許可条件)

第12条 前条第1項の許可には、自然を保護するために必要な限度において、条件を付することができる。

(自然保護地区内における行為の届出)

第13条 自然保護地区(特別保護地区を除く。)内において、第11条第1項第1号から第3号までに掲げる行為が、県知事の定める基準を超えるものをしようとする者は、知事に必ずその旨の届出をし、村長はその証の提示を求めることができる。

2 次に掲げる行為については、前項の規定を適用しない。

(1) 通常管理行為、軽易な行為その他の行為で村長が認めるもの

(2) 自然保護地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手している行為

(3) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

(郷土記念物に係る原状変更等の届出)

第14条 郷土記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ村長にその旨を届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為又は非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

(行為の禁止)

第15条 何人も第6条第1項第3号に係る動植物保護地区内において、みだりに保護動物を殺傷し、若しくは捕獲し、又は保護植物を損傷し、若しくは採集してはならない。

2 何人も保護地区内において、みだりにごみその他汚物又は廃物を捨てたり放置してはならない。

(助言又は勧告)

第16条 村長は、自然の保護のために必要があると認めるときは、自然保護地区内で事業を行う者その他の関係者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。

(禁止命令等)

第17条 村長は、自然の保護のために特に必要があると認めたときは、その必要な限度において、第13条第1項又は第14条の規定による届出を要する行為をしようとする者又はした者に対して、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

2 前項の処分は、第13条第1項又は第14条の規定により届出があった日から起算して30日以内に限りすることができる。

(原状回復命令等)

第18条 村長は、自然保護のために特に必要があると認めたときは、第11条第1項及び第12条の規定により許可に付された条件又は前条の規定による処分に違反した者に対して、原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難であると認める場合には、これに代わるべき措置をとるべき旨を命ずることができる。

(自然保護等の協定)

第19条 宅地の造成その他自然の保護に影響を及ぼすおそれのあるものとして、県知事が定める行為をしようとする事業者は、自然の保護及び回復に関する協定の締結について協議を求めたときは、誠意をもってこれに応じ、当該協定が成立したときは、誠実にこれを遵守しなければならない。

(立入検査)

第20条 村長は、この条例の施行に必要な限度において、職員をして他人の占有する土地に立ち入り、当該土地にある物件又は当該土地において行われている行為の状況を調査させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。

(自然保護審議会)

第21条 村は、自然保護基本計画の策定及び自然保護地区の指定について審議するため、新庄村自然保護審議会を設置する。

(自然食品類の採取規制)

第22条 村長は、村内の林野、採草地等に自生する自然食品類(ふき、わらび、ぜんまい、うど等をいう。)を、新庄村の住民以外の者が採取することにより、村民とのいさかいを生ずるおそれがあるときは、これを禁止することができる。

2 村長は、前項のおそれがないと認める地域について、新庄村の住民以外の者から申出があったときは、入山料を徴収して、これを許可することができる。

3 前項の規定に違反して入山した村民以外の者があったときは、収穫物は没収する。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、村長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(昭和52年3月14日条例第14号)

この条例は、昭和52年4月1日から施行する。

(昭和56年9月28日条例第27号)

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行前に既に着手された開発行為については、協議のあったものとみなす。

新庄村自然保護条例

昭和47年11月18日 条例第20号

(昭和56年9月28日施行)