○新庄村地下水保全条例

平成26年3月12日

条例第1号

新庄村は、毛無山、朝鍋鷲ヶ山などの山々や旭川源流の緑豊かな自然環境に恵まれており、四季の変化が明瞭な気候の下で、清らかな水が育まれ蓄えられている。

水は全ての生命の源であり、私たち村民の安全で安心な生活や農林業をはじめとする産業の健全な発展の基盤として、村民誰もがその恩恵を享受できる村民共有の貴重な財産である。

私たちは今、先人から受け継いだ豊かな水資源の恩恵を受けているが、近年全国的に水源周辺の利用目的が明らかでない土地取引が認められたり、地下水の利用増加によるその枯渇が心配されている。

このように水資源の希少性が高まっている中で、私たち村民のかけがえのない財産である清らかで豊かな新庄村の水を、次の世代に引き継いでいくことは、私たちの使命である。このため、水資源の大切さを十分に認識し、新庄村の水資源の保全に取り組んでいくためこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、新庄村(以下「村」という。)の地下水の涵養と保全に努め、公共用の水道水源及び湧水資源を保全し、併せて大量採取による地盤沈下を防ぎ、もって村民の福祉に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地下水 井戸により採取する全ての地下水源をいう。

(2) 井戸 動力を用いて地下水を採取するための施設をいう。

(3) ストレーナー 井戸に設けられた収水孔をいう。

(4) 採取者 第6条の規定により許可を受けた者及び第12条の規定により届出をした者をいう。

(適用除外)

第3条 この条例は、国又は地方公共団体が事業者である場合及び地下水採取の目的が生活用水だけに限られる場合には適用しない。

(村の責務)

第4条 村は、村民の生活に支障が生じないようにするための地下水の保全に係る施策の実施に努めなければならない。

(採取者の責務)

第5条 採取者は、地下水を涵養し、かつ、採取量の縮減に努めるとともに、村が実施する地下水保全に関する施策に協力しなければならない。

(地下水採取の許可)

第6条 村内で地下水を採取するための井戸(揚水機の吐出口の断面積(吐出口が2以上あるときは、その断面積の合計とする。以下同じ。)が5平方センチメートルを超えるものに限る。)を掘削しようとする者は、あらかじめ村長の許可を受けなければならない。許可を受けた井戸について、ストレーナーの位置を変更し、又は吐出口の断面積を大きくしようとする場合も、同様とする。

2 村長は、前項の場合において、次条に定める許可基準に適合していると認める場合でなければ、同項の許可をすることができない。ただし、村長が公益上必要と認める場合は、この限りでない。

3 村長は、第1項の許可に必要な条件を付することができる。

(許可基準)

第7条 地下水の採取に係る許可基準は、次に定めるところによる。

(1) 地下水の有効的な利用に支障がないこと。

(2) 既存の水道水源又は井戸に影響を及ぼすおそれがないこと。

(3) 採取する地下水の用途が必要かつ適当であること。

(4) 他の水をもって代えることが困難であると認められること。

2 村長は、前項の許可基準について市町村境界付近の地下水の採取であるときは、関係自治体と協議を行うものとする。

(許可の申請)

第8条 第6条第1項の規定による許可を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した申請書を村長に提出しなければならない。

(1) 氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名)及び住所

(2) 地下水の用途及び利用計画

(3) 井戸ストレーナーの位置、揚水機の種類、吐出口の断面積及び量水計の設置が確認できる書類

(4) 掘削深度と1日平均採取量が確認できる書類

(5) 掘削場所の土地所有者を明らかにする書類及び同意書

(6) 申請者と利用者との関係等を表す書類

(7) 掘削完成後の利用施設の排水処理方法及び施設等の図面

(8) 井戸の設置場所を示す図面

(9) その他村長の指定する図書

(許可又は不許可の通知)

第9条 村長は、前条の規定により申請があったときは、60日以内に許可又は不許可の決定をしなければならない。ただし、特別の事情がある場合は、この限りでない。

2 村長は、前項の決定をしたときは、文書をもって申請者に通知しなければならない。

(完成の届出)

第10条 第6条第1項の許可を受けた者(以下「被許可者」という。)は、井戸が完成した日から15日以内に村長に完成届出書を提出し、その検査を受けなければならない。

(水量測定器の設置等)

第11条 被許可者は、水量測定器を設置し、毎月採取量を村長に報告しなければならない。

(地下水の採取の届出)

第12条 村内で地下水を採取するため井戸(揚水機の吐出口の断面積が5平方センチメートル以下のものに限る。)を掘削しようとする者は、あらかじめ第8条各号に規定する事項を記載した届出書を村長に提出しなければならない。

(変更の届出)

第13条 採取者は、第8条各号に定める事項に変更があった場合においては、その変更のあった日から30日以内にその旨を村長に届け出なければならない。

(許可及び届出の承継)

第14条 採取者から許可又は届出に係る施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該施設に係る採取者の地位を承継する。

2 採取者について、相続又は合併があったときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、採取者の地位を承継する。

3 前2項の規定により、採取者の地位を承継した者は、その承継のあった日から30日以内にその旨を村長に届け出なければならない。

(許可の失効)

第15条 被許可者がその井戸につき次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、当該井戸に係る許可は、その効力を失う。

(1) 井戸を廃止したとき。

(2) 井戸の揚水機を動力によらないものとし、又は揚水機の吐出口の断面積を5平方センチメートル以下としたとき。

2 井戸を廃止した者は、井戸を廃止した日から30日以内にその旨を村長に届け出なければならない。

(許可の取消し等)

第16条 村長は、偽りその他不正な手段により許可を受けた者に対して、その許可を取り消すことができる。

2 村長は、第6条第1項の規定に違反して許可を受けないで井戸を掘削した者又は同条第3項の規定により付した条件に違反した者に対し、その違反を是正するため、期限を定めて、必要な措置をとることを命ずることができる。

3 村長は、予見することができなかった特別の事情の発生により、地下水の保全を図るため、緊急の必要があると認めるときは、採取者に対し、相当の期間を定めて、地下水の採取を制限することができる。

(調査審議)

第17条 村長は、地下水の保全に関する重要事項を調査審議するため、新庄村土管理センターの意見を求めることができる。

(立入調査)

第18条 村長は、この条例の施行に必要な限度において、職員をして当該井戸が設置された土地に立ち入らせ、調査させることができる。

2 前項の規定により調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

(指導、助言等)

第19条 村長は、地下水の保全上必要があると認められるときは、採取者又はその代理者に対し、指導若しくは助言をし、又は期限を定めて必要な措置(採取行為の一時停止を除く。)をとるように勧告することができる。

(措置命令)

第20条 村長は、前条の規定による勧告を受けた者が、当該勧告に係る措置を怠ったときは、期限を定めて、当該措置をとるべきことを命ずることができる。

(措置の届出)

第21条 第19条の規定による勧告又は前条の規定による命令を受けた者が、当該勧告又は命令に係る措置をとったときは、7日以内に村長に届け出て、その検査を受けなければならない。

(停止命令)

第22条 村長は、第20条の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、期限を定めて、採取行為の一時停止を命ずることができる。

(指名等の公表)

第23条 村長は、第19条第20条又は前条の規定による勧告又は命令を受けた者が、正当な理由なくしてその勧告又は命令に従わないときは、当該勧告又は命令に従わない内容及びその者の氏名等を公表することができる。

2 村長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、公表をされることとなる者に対し、その理由を通知し、及び意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第24条 この条例に定めるもののほか、この条例に施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第25条 第6条第1項の規定に違反して許可を受けないで井戸を掘削した者は、30万円以下の罰金に処する。

2 第16条第2項第20条又は第22条の規定による命令に違反した者は、10万円以下の罰金に処する。

3 次の各号のいずれかに該当する者は、3万円以下の罰金に処する。

(1) 第10条第12条第13条又は第15条第2項の規定に違反した者

(2) 第6条第1項の許可を受けるに当たり、偽りその他不正な手段を用いた者

(3) 正当な理由がないのに第18条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者

(両罰規定)

第26条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。

2 村長は、この条例の施行の日から起算して5年を経過するごとに、社会経済情勢の変化等を勘案し、この条例の施行の状況等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

新庄村地下水保全条例

平成26年3月12日 条例第1号

(平成26年4月1日施行)