○新庄村各種団体保護林造成条例及び新庄村村有林整備事業条例に基づく採草地・分収造林・任意施業地の運用についての村長の通達

昭和52年1月13日

訓令第1号

新庄村各種団体保護林造成条例(昭和31年条例第5号)により各区に分収林が設けられ、また、新庄村村有林整備事業条例(昭和45年条例第6号)によって採草地及び任意施業地が各区に貸し付けられているのであります。

この制度が実施されて以来相当年月が経過していますが、最近の経済状勢の激しい変動と、個々の生活態様の進化から農家の主労働力は第2次、第3次産業へと流れ、農家労働は老人と婦女子によって支えられる結果となって、農業は益々衰退の一途をたどっているのであります。したがって、採草地は、そのほとんどが利用されないまま山林化しようとしています。

また、村民の世代の移変りに伴う相続の問題等法律の見解に基づいていかに対処するかを見直す必要が生じたので、この通達によって村内統一して運用されるよう通知します。

1 採草地について

採草地は、本来村有林に対する入会権に基づく農家の権利であるが、農家の経営基盤の変動に順応して配分されるよう村が管理しているのが新庄村の特色である。

採草地は、各区に耕地面積の1.5倍を基準として貸与され、農家に利用されているのであるが近年の利用実績は約20パーセント程度に過ぎない。将来の見通しに立って利用されないからといって、採草地面積を縮小することはできないであろう。農業を振興するために村民こぞって採草地の有効な利用方策を考える必要がある。

運用について一方策を例示すれば

(1) 各牧野組合は毎年初めに会合し、家畜の飼料として、また刈草としての利用の希望面積を集計し、採草地の当該年度利用区域を定める。残りの採草地は酪農家又は和牛多頭飼育者に採草放牧地として組合が有償で貸付けすることができる。更には、他の牧野組合員で希望する者があるときにも、有償で利用することを認めることができる。これら運営のために各牧野組合に運営委員を設け、各組合の運営委員の相互連携によって円滑な運営を期する。

(2) 個人には、原則的に場所を区画して配分しない。ただし、野草といえども施肥管理するときは、10年を限度として一定区画の場所を配分することができる。現在は、個々に5年~10年毎に区画配分しているのであるが、草のない人は他人の権利分を有償で刈らせてもらっているところがある。しかし、これでは意欲のある農家の伸長を阻害しているので、連帯的責任において有効利用を検討されなければならない。

2 分収造林について

(1) 個々の持分を認められた分収林の後継者のいない組合員が、老齢により組合員としての継続ができなくなったとき、又は、転出のため新庄村に住所を有しなくなったときは、この組合は、時価による評価額から算出した配分額を補償しなければならない。

(2) 前号の配分額を組合が補償できないときは、村がこれを買上げる。

(注 村が買上げるときは、村が評価した額による。)

(3) 組合員が死亡したときは、相続人は6箇月以内に財産分割協議書又は特別受益証明書等を提示して組合に届け出なければならない。

(4) 前号の相続人のうちに新庄村の住民でない者があるときは、前号により処理しなければならない。

(5) 組合員個々の持分はあくまで均等でなければならない。もし、世帯の合併、相続等により均等分以上の権利を生じたときは、この組合は、平等を超えた権利分を買上げなければならない。

3 任意施業地について

任意施業地は、村から各区に貸し付けられたものであり、借り受けた個人は各区に対して責任を負うとともに、村に対しては一つの地上権を得たことになる。しかし、村はあくまで各区の責任において貸し付けたものであるから、個々の地上権を保証することはできない。

任意施業地は、各戸1ヘクタールを標準としているのであるが、実際配分に当たっては地形、地味、搬出距離の遠近等からその面積に差異ができるのは当然であり、個々の配分面積が1ヘクタールより少なくてもやむを得ないのである。

(1) 条例では任意施業地の借受者が村外に転出したときは、「各区又は村が適当な価額で引き受ける。」となっているが、この適当な価額には評価方法、評価額等のはっきりした計算根拠がなければならない。

(2) 前号の規定により引き受けた任意施業地の維持管理と権利の所属について、

(ア) 組合員全員で引き受け、権利は全員共有とする。

(イ) 希望者数人で引き受け、権利は引受者に所属する。

等の問題が起るが、いずれにしても組合員全員が了承した上での措置でなければならない。この記録は保存すべきものである。また、引受者が1人ではいけない。個人同士の権利の売買と紛らわしいおそれがあるからである。

(3) 世帯の合併又は相続により1人で2口以上の任意施業地を持つことになるときは1口を超えた部分は各区に、又は村に引き受けなければならない。

(4) 各組合には施業地台帳を備え、組合員個々の施業と組合員の異動に関する記事を入念に記録し、保存しなければならない。

(5) 村は、任意施業地の個人権利を引き受けるための資金を、組合に貸し付けることができる。

(6) 前2号の規定は、分収林にも適用する。

新庄村各種団体保護林造成条例及び新庄村村有林整備事業条例に基づく採草地・分収造林・任意施…

昭和52年1月13日 訓令第1号

(昭和52年1月13日施行)

体系情報
第9編 業/第2章 林/第2節
沿革情報
昭和52年1月13日 訓令第1号